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2020年4月25日土曜日

拝金主義

私は落語が好きです。

落語は江戸時代の一般社会を風刺しており
その中には、人情噺が多く含まれています。

「唐茄子屋政談」や「文七元結」は
誰もが知る有名所ですが
その多くは、お金が話の中心にあり
お金を取り巻く人間の醜い「欲」に
そこに関わる人が打ち勝つことで
終始ドロドロとした金・酒・女の話が
最後は、スカッと気持ちよく
終わるようになっているのがミソです。

落語を聞けば聞くほど
今も昔も人は
食欲(酒欲)・性欲よりも
金欲に打ち勝つさまが
心地よいのだと痛感するのです。

話は、現世に戻ります。

コロナウイルスの緊急事態宣言後
1年で最大の繁忙期とされる
4月~5月の営業が自粛となり
多くの飲食店や娯楽施設が
経営危機に陥っています。

そしてそこで働くアルバイトやパート
そして非正規雇用の社員方の解雇が
吹き荒れています。

日本の未来を背負う大学生たち。
その多くがアルバイトで生計を立てており
また、地方から都心に上京しています。
彼ら彼女らは、帰郷も許されず
仕事も無く、アパートにこもる日々。
食べるものを買うお金にも困っているような
危機的状況になっていると訴えます。

そんな真っただ中の4月22日に
下記がニュースとして流れました。

日本大手の住宅総合メーカーの
大和ハウス工業は
子会社のが管理する
アパートやマンションなど
約50万戸の入居者を対象に
最大3カ月分の家賃を
『猶予』すると発表した。

また、大東建託など
他の賃貸住宅事業者も
家賃の猶予を認めており
今後、同様の動きが広がるとみられる。
 
大和ハウスで猶予対象となるのは
家賃に加え、駐車場代や共益費など。
個人・法人いずれの契約でも可能で
返済については、
申し込み時点から最長で2年の間に
分割して行えばいいという。

ひと読みして・・・
「おお、ダイワハウス、やるじゃん!」
と思った私。
でも、落語を聞いた後のようには
なんだかスカッとはしません。

ん?
「猶予」
「2年間に分割」
んんん?

これ、結局、全部払えって言ってますね?

落語的であれば「免除」のはずです。

でも「猶予」じゃ、何も負けておらず
企業側に損は発生しません。

政府の政策で法人税を引き下げてもらい
去年度は、過去最高の収益を上げ
1兆2千億円もの
内部留保をもつ大和ハウス工業。

その儲かりまくってる大手企業が
この期に及んで
食うものも困っている人々に対し

「家賃は待ってやる、2年間で分割して払え!!」

と、仰っておられます。

泣きっ面に蜂とは、この事ですね。

落語であれば
ここで、正義の味方が現れるところですが・・・
報道では「他の企業も追随」となっています。

酷いです。
拝金主義もここまで来たら
もう、「良心の国」と言われた
日本ではないように思えてきます。

落語のような世界は
失われてしまったのでしょうか?

大企業には、血の通った対応を求めます。

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