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2020年12月7日月曜日

孤独死

今日のニュースにて
凄い記事が出ていました。

見出しは
「同居の孤独死538人」
というものです。(以下抜粋)

家族と同居していたのに
自宅で死亡しても
すぐに発見されない
「同居の孤独死」が
2017~19年の3年間に
東京23区と大阪市だけで
計538人に上ったことが
毎日新聞の集計で判明した。

大阪市では
同居者が認知症のため
発見が遅れたケースが
全体の3割に上った。

高齢化が進行する中
全国で同様の事例が
相次いでいるとみられ
専門家は、国や自治体が
支援を強化する必要性を
指摘している。
(以上)


なんとも凄い話ですね。

孤独死のほとんどが
一人暮らしの高齢者ですが
今、一人暮らしではなくても
孤独死をするというものです。

それほど・・・
日本において
家族という価値観が
希薄になっているのですね。

今、我々不動産業界では
この「孤独死」が
大きな問題になっています。

不動産売買において
「孤独死」物件を
とても多く扱うように
なっているからです。

関東圏では
住宅地の世代交代が起きており
ドンドンと新しくなる街の中で
若い世代は
昔のような近所付合いが皆無です。

お隣にどんな人が住んでいるか
知らないなんて当たり前。
挨拶すらしないなんて
珍しくない。

特に、マンションはは
それが顕著で
逆に居住者個々が
「我々に干渉するな」
というオーラを出しながら
生活しているような状況です。

だから・・・
お隣さんが具合が悪くても
解るわけないし
亡くなってしまっても
全く気が付かないのです。

去年、東京都内で孤独死した
65歳以上の単身世帯が
5,953人にも上ったそうです。

これは・・・
都内だけの
たった1年間の数字です。
日本全国での統計は
存在していませんが
事件性が無い孤独死は
年間4万人は越えていると
言われています。

「悲しい事態だ」
「なんともかわいそう」
という声であふれ
社会問題として
取り上げられていますが

でも・・・
日本では昔から

『自宅で最期を迎える』

という確固たる価値観が
存在します。

アンケートを取ったら
たぶん、100人中100人が
「家で死にたい」
というでしょう。

つまり、孤独死と
言われている死に方は、実は
「日本人の理想の死に方」
でもあるのです。

だから個人的には

「孤独死」という
ネガティブな表現には
大きな違和感があります。

この言葉が生まれた後
「老衰死」という言葉も
ネガティブに受け止められていて
個人的に納得いかないのです。

私もつねづね
「病院で管につながれて身動きできず、無機質な天井をみて死ぬのはヤダ」
と、自分の将来に強く願います。

だから、自分の家で
心筋梗塞などの心疾患や
脳卒中や脳梗塞・くも膜下等で
一人、死ぬのは
孤独でも何でもなく
『素敵だ』とさえ思ってしまいます。

なぜ、こんなに
ネガティブにとらえられるか?

それは、この言葉が生まれたのが
『阪神淡路大震災の後』
だったからなのと
その後、行わなければならない
「事後処理」が原因です。

一人暮らしの人が
自宅で亡くなられると
死後数日から
数か月たったあとに
発見されるケースが殆どです。

新聞を購読している方の場合は
新聞の配達員が
「ポストに溜まっている新聞」
をみて、警察に通報するケースが多く
その場合は、1週間程度で発見されます。

新聞を取っていない方は
郵便配達員が
「ポストに溜まっている郵便物」
をみて、警察に通報するケースとなりますが
その場合は、1カ月以上経過することが
多くなります。

亡くなられた方の遺骸は
魂が抜けてすぐ
土に戻ろうと腐敗していくので
家の中は
数日で惨状となります。

私も一度
ご近隣の住民から通報を受け
一人暮らしで無くなられた方の
第一発見者になったことがありますが
その時は、死後1カ月を経過しており
その惨状は20年たった今でも
忘れられません。

それら多くの住宅は
遺体を運び出して
供養した後
解体され「更地」となります。

そして、親族に相続され
殆どが相続税等の税金を払うために
売却されます。

売却をする際・・・
売主となる所有者には
『告知義務』という責任があり
事件性が無い場合でも
「過去存在した家の中で人が亡くなった」
という告知を行う必要があります。

これを怠ると
『隠れた心理的瑕疵』
とみなされ
買主は、売主に対して
契約の無効や
損害倍書を請求することが
出来るようになっています。

平成の半ばまで
我々不動産業界では
自宅で人が亡くなられても
事件性がなければ
ほとんど告知しませんでした。

ただ、ここ数年で宅建業法が
より厳しく解釈され
死後1日でもたって発見された
すべての「自宅死」は
告知案件と認識されています。

これが、ネガティブになる
大きな要因となっているのだと
個人的には思うのです。

日本全国で年間4万軒。
それを事件物件や事故物件と同じ
「心理的瑕疵」という一括りで
表現するのは、一業者として
全く納得できません。

国は、宅建業法の見直し
表現方法を考え
「告知義務」の種類を
何通りも分けをしてほしいと思います。

そして、世間では
「孤独死」という言葉を
使うのは辞めてもらい
一昔前の日本で当たり前だった
「自宅死」に一人称を加え
「一人自宅死」というような
受け入れやすい言葉で表現し
一人暮らしのご老人が
一人、自宅で永眠することに
もう少し市民権を与えてほしいと
強く強く思うのです。

「お一人様」なんて言葉が
市民権を得ている昨今。
なぜ、一人暮らしのご老人が
「寂しい」「悲惨」と考えるのか?
自由を謳歌している人も
いっぱいいると思いますよ。

当社でも、今年、数件
『一人自宅死』の物件を
買い取らせてもらっています。
その頻度は、年々多くなってきています。

そんな土地に対して
一般の皆さんには
是非、嫌な思いをしてほしくないのです。

「住んでいた人は幸せだったろうな」
「自宅で死ねて本望だったろうな」

と、プラスに感じてほしい。
そして、そんな家を

『本懐を遂げた家』

として、逆に
幸せな場所と捉えててほしいです。

実際、本当にそうだと
私は思うんだけどな~。(^^;)


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