特に設計に従事している人は
皆、共通の職業病があります。
いくつかあるのですが
一番、病気的なのは
「隙間を埋めたがる」
というもの。
テトリスというゲームがありますが
あれにとても似ていると思います。
感覚的には「テトリスの住宅版」でしょうか。(^^;)
とにかく・・・
「余分」な隙間や
「余計」な空間が
気になってしかたがない。
少しでも隙間が空いたら
「ここに何か造れないか?」
「ここに何か入れられないか?」
と、その隙間を
設備や造作で埋めようとしてしまいます。
とても広~いの豪邸であれば
無駄があっても
なんら気にならないのでしょうが
我々が手掛けるのは
24坪~35坪ぐらいの
「一般庶民の家」です。
限られたスペースの中で・・・
少しでも収納を多くしたい。
少しでも無駄を省きたい。
水回り設備をピッタリ納めたい。
一切無駄のない空間にしたいと思うのです。
今、鎌倉市笛田4丁目にて
3000万円台で販売を予定している建売住宅があり
現在、設計真っただ中で
間取りは下記のとおり、大まかに決定しました。
1F
2F
赤い線は、私の落書きです。
延床面積は24坪。
間取りは3SLDK。
LDKは14.82帖と小さめなので
将来置かれるであろう
①テレビ
②AVボード
③ソファー
④ダイニングテーブル
⑤冷蔵庫
等々
配置を練りに練った
動線設計となっています。
内寸は、柱とボード・クロス・巾木を除き
3640mm-155mm=3485mm前後。
幅685mmなので、有効幅が700mmあればOK。
システムキッチンは幅2700mmを入れるとして
10mm程度のクリアランスを確保して
etc・・・
こんな数字を
あーだ、こーだ丸一日考え
I型の2700がベストだと決定し
実際に建築に入って行くわけです。
すでに着工している
注文住宅のお客様O様邸にて。
配置が決まってみると
洗面化粧台と洗濯機の隙間が
45cm程度生まれます。
それがどうしても気になり
お客様に、こう提案しました。
「幅450のキャビネットを追加できます」
『私の提案をすんなり受け入れるだろう』
という勢いで、お話をしました。
と仰られ
その横で、奥様はなぜか浮かない顔。
「どうです?」
と、どや顔で迫る私に・・・
奥様はとても言い難そうに
小さな声で、こう仰いました。
「私は、余分な空間が好きなんです。」
お話をお伺いすると
自分で好きに使う事が出来る。
自由度があった方が
日々変わる生活に自分で合わすことが出来る。
奥様、にっこりと笑顔で
気が付かされたと、ビックリ。
そうか。
なんでもかんでも『余分を埋める』というのは
無駄な部分を残しておくことで
家を初めて建てる方で
しかも私よりも15歳以上若いご夫婦に
何だか、人生観を変えるようなことを
話が戻ります。
笛田4丁目のキッチンですが
この話を機に改めることとしました。
幅がピッタリなサイズにはせず
わざと隙間が空くように
サイズを選んでみようと思います。
試しに・・・
「冷蔵庫の隙間収納」
こんな便利なものが売ってるんですね。
こんなものを考えると
逆に便利で楽しいのですね。
なるほど。
自分で好きに「余分を楽しむ」ことが出来ますね。
また話が変わりますが・・・・
一昨日、玉縄1丁目で販売予定だった土地に
飛び込みのお客様から
購入申し込みを頂きました。
販売開始前に終了となります。
そして、また
一つの家族の夢を託して頂きました。
お客様のご希望で、当社にて建物を請け負う事となります。
この新しい経験を生かし
少しでも良いご提案が出来るよう
また、一から頑張ります。