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2016年6月5日日曜日

高齢化?長寿?

「100歳すぎても歯が生えてきた」
パキスタンにそんな桃源郷があるという。

インフラが一切整っていないパキスタンの山岳地帯「フンザ」
医療施設など無い。
少なくとも千年前から暮らす人々が、他界とつながったのは60年前のこと。
それまで完全に陸の孤島だった村は、完全な自給自足を営んでいた。

化学肥料も農薬も保存料とも無縁。

オーガニックな果物や木の実中心の食生活だ。

推定115歳で亡くなられたバラドさんは・・・
自分の畑や村でとれたもの以外は、「汚れている」といって食べなかった。

フンザの老人は良く歩く。
3日間かけて歩かないと、隣町にも行けないからだ。
夏には2か月間、高原の草原へ放牧へ。

昔は食べ物がなくなっても近所の家に行って食べ
酒を飲み、喧嘩も朝には忘れた。
木陰で寝ても平気。
家の戸にカギは無かった。

それが、最近急激に変わった。
観光ブームでこの桃源郷が話題になり・・・
外国人客が押し寄せ、貧富の差が生まれた。

昔は皆悩み事がなく、心も健康だった。

それが、今は、皆、教育やビジネスと心配事ばかりしている。
すると、どうだろう。
最近はがんや糖尿病など、現代病が広がり始めた。

昔は、癌患者なんて一人もいなかったのに。

老人の一人は嘆く。

昔は一個のじゃがいももゴールドのように大切にし
皆で分け合って食べた。
それが今はどうだ?
争い奪い合い、殺し合いまで起きている。
こんな世の中に何の意味もない。
人生最悪の時だ。

澄み切った空気。
7千メートル級の山々にしがみつくように存在する村の空は、宇宙を感じるほど深い。

訪れた人が「風の谷のナウシカ」のモデルの地だというのもうなずける。

世界屈指の長寿大国日本。
医療や福祉の充実ぶりは、素晴らしいと思う。

ただ・・・
100歳を超える長寿となると・・・
別次元の何かが可能にしているのだろう。

現代世代として、なんだか申し訳ない気持ちになった。

(東京新聞:武石英史「郎辺境の里、長寿伝説」より)

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