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2016年3月18日金曜日

マンションのスラム化

富士通総研で日本経済の上席主任研究員でいらっしゃる
著書「限界マンション」で有名な、米山秀隆さんのお話が・・・
ちょっと、心底ゾッとしたので、ご紹介します。

(東京新聞2月14日:メトロポリタンより)

今のところ、空き家問題は一戸建てが中心だが
近い将来、首都圏で深刻化していくのは、分譲マンションの空き家問題である。

築40年を超えたマンションは、空室率が高まる。
老朽化とともに、区分所有者の高齢化や空室化が進んで
管理が行き届かず、スラム化に至る。

いやゆる「限界マンション」が、大量に出て来るだろう。

建て替えは簡単ではない。
容積率に余裕があって、従前よりも多くの部屋を造ることができ、その売却益が見込めなければ、デベロッパーの協力は得られ難いといえる。

現存するマンションの多くは、敷地一杯に建っている。
法規制は、昔より厳しくなっているため、同じ規模のものを建て替えるのも難しい。

また、行政支援の再開発による建て替えにも限界がある。

建て替えが困難な場合には・・・
区分所有権を解消し、敷地を売却して終止符を打つ方法がある。
しかし、買い手が現れない場合には、解体費用の捻出ができない。
その場合、老朽化物件が放置される恐れがある。

また、建て替えや敷地売却は、区分所有者の合意が必要である。
この合意は、マンションの規模が大きくなればなるほど、困難となる。

物件を丸ごと買い取って改修、賃貸物件などとして再生できる場合には
ファンドなどによる物件再生の可能性もある。
しかし、これもできるのは、区分所有者全員からの買い取りが出来た場合であるが、かなり至難である。

建て替えも敷地売却も建物再生も難しく・・・
スラム化が進み、放置しておくことが危険になった場合には
現在の一戸建ての空き家同様に、最終的に誰かそれを解体するのかという問題が生じる。

一戸建てと同様、その責任を果たさなければならないのは所有者である。
しかしマンションの区分所有者に、そのような責任を自覚している人はほとんど居ない。

区分所有者が責任を果たさなければ・・・
最終的には行政が取り壊すという選択肢が必要となる。
フランスのスラム化したマンションで実際に行われた例があるが、すべての公費解体は、現実にはかなり難しい。

おそらく、倒壊の危険性がある緊急なものに特別に実施することになるだろう。

マンションの場合、解体には億単位の費用が掛かるが・・・
それを納税者全体が負担することになるわけだ。
ただこれは不公平である。

本来、負担すべき所有者が負担する形にするには、例えば解体費用の積み立ての義務付けが考えられる。それが難しいなら、固定資産税に上乗せする形で解体費用をプールしておく仕組みも考えられる。

誰もがマンションの建て替えの難しさを直視し・・・
建て替え以外のマンションの「出口」をどのように整えるべきか。
今から真剣に検討しなければならない段階に入っていると、言えるだろう。

マンションの全国ストックは2014年末で613万戸もある。
そのうち、1981年6月以前に建てられた旧耐震マンションは約18万戸となる。

今後マンションの老朽化は、急速に進む。

築40年超のマンションは・・・
10年後には約151万戸、20年後には約296万戸に。
そして、建物の老朽化とともに、区分所有者の高齢化も進む。

マンションが直面する「二つの老い」である。

現在、1970年以前に建築されたマンションのうち
60歳以上のみの所帯は52%にものぼる。

さらに、おどろくことに
1971~1980年の間に建築されたマンションでも・・・
60歳以上のみの所帯は、48%を超えるのである。

凄い話ですね。

不動産業者として・・・
これは、しっかりと把握して、お客様に伝えなければなりません。

「現実」ですから。

知らない・知らなかった

では、売る方も買う方も済まされませんよね。



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