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2015年11月9日月曜日

手間を掛ける

住宅を建てる上で、何が一番高価なのでしょう??

素材や建材、住宅設備等、色々ありますね。
でも、私、個人的に「手間」だと思っています。

「手間がかかる」という言葉があります。

これはイコール「お金が掛かる」となります。

そりゃ、材料費もバカになりません。
ただし、幾ら良い材料を使っても、それを加工する職人が未熟では意味がありません。
材料の良し悪しに関係なく、手が悪ければ酷い仕上がりになります。

大工さんを筆頭に・・・
左官屋
板金屋
タイル屋
家具屋
建具屋
ペンキ屋
表具屋
畳屋
etc

「熟練された技術」が、良い住宅に結びつくのです。

お金は、すべて比例します。
すべての良し悪しに対して、比例します。

悪いものは安い。
良いものは高い。

人間界の原理です。

しかし、難しい事に・・・
高くても悪い物は一杯あります。
その代り、安くて良いものは、滅多にありません。

これも、人間たる所以です。
ここを、皆、解っているようで全然解っていないような気がします。
だから、「安くて良い」と言われる物に、簡単に飛びついてしまう。(汗)

また、「時は金なり」という言葉があります。

世の中に吹き荒れる「コストカットの嵐」

手間が掛かる=時間がかかる

よって、儲けている住宅メーカーほど・・・
手間がまったくかからない。(笑)

某、一流メーカーは、上棟してから1ケ月で家が完成します。
我々木造の在来工法は、丁寧にやったら最低3ケ月かかります。

時間にして3分の1です。
つまり、手間を3分の1削った訳です。
結果、一企業で数百億円の純利益を上げている。(失笑)

先日、当社の注文住宅T様邸。

下屋の軒天を、杉板で張りました。



1階の部分に30㎡の大きな下屋根がある家です。
その軒天、ケイカル板(写真の白い板)を貼って仕上げる予定でしたが・・・
急きょ、お客様のご要望で杉板を張ることとなりました。

準防火地域なので、軒天は不燃構造としなければなりません。
よって、ケイカル板を下地に張ります。
(通常、これで仕上がりです。)

ここで、選択肢があります。
①大判の化粧パネルを張る。
②幅3尺・長さ6尺の羽目板を張る。
③板を一枚一枚張る。

手間は③>②>①となります。

当社は、③を選びました。

更に選択肢があります。
①イモ張り
②馬張り
③乱張り

手間は③>②>①

大工が、③を選びました。

これで、手間が6倍以上に跳ね上がりました。
でも、熟練の大工さんです。


一枚一枚、完璧に手際良く張っていきます。

そして、今度は壁です。

壁は、ガルバリウム鋼板の家です。
しかし、下屋の内側は雨が当たりません。
一部を板張りにすることにしました。
ここも、防火下地を施し、その上に板を張る必要があります。

簡単にやるのであれば・・・
軒天に張った同じ杉上小の本実一枚ものをはるところです。
でも、それだと山小屋風になってしまうな~。

ということで、大工さんと材料を探しまくり・・・

ウェスタンレッドシダ―の羽目板にすることにしました。
定価、㎡1万円の高級素材です。
26㎡ありますので、定価計算で26万円の追加です。
住宅メーカーであれば、26万円をそのまま請求することでしょう。
でも、当社は、お客様の予算内で収めることに。

施工は、入隅、出隅と複雑な収まりでとても難しい。
これを、大工の井関さん、4日掛けて完璧に収めてくれました。


軒天と袖壁の板張りで、1週間以上を要しています。

そこに掛けた手間が・・・
住宅の意匠となって、家を彩ります。

玄関のポーチで、森林浴をしているかのよう。


玄関を入ると、上がり框に付け框が目立ちます。

玄関と隣接するガレージが土間となるので・・・
総延長15mを超える框となります。

ここも既製品を使わず、タモの集成材で大工さん造作。
室内側の出隅は、靴下が引っかからないように框を芋収め


室外側の出隅框は、留収め加工



ここも本来は無垢板で行きたいところですが・・・
将来痩せて隙間が出来てみっともないので、集成材としました。
壁が乗る袖なので、半分以上隠れる箇所です。

たかが框です。
普通の家は、既製品をパッと付けて終わりです。
でも、手間を掛けると、仕上がりは雲泥の差となります。

この框は、後日、石井塗装さんが、オスモオイルを塗って仕上げます。

これも、既製品を使えば必要のない手間ですね。

さて、ここまで紹介して・・・
さぞ、高い家だろうと思われると思います。
メーカーさんでここまでやったら、坪100万円は取るでしょうね。

でも、弱小工務店の我々は、そんな真似できません。
お客様の予算内で、メイ一杯の努力となります。

・・・
人間味がありますでしょ??

住宅は、手間がかかるものです。
時間を掛けるものです。

ここを削ってしまったら、素っ気ないでしょ??

当社はコストカットに走らず・・・
手間と時間をかけ・・・

良いものを安く(それなりに)

出来る限り、頑張っていきまっせ!!



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