進路を決める人生の岐路に立った時・・・
世界を見たいと両親を説得。
自ら企業経営者の会合に出て
協賛金として135万円の旅費を集め
八か月半もの間
ボランティアとして世界各国の国際協力機構や国連事務所、NGOを訪ねて回った。
彼が訪れたのは東南アジアやアフリカ、南米など29か国。
フィリピンでは、子供の空腹を紛らわすため
親が食事より安いシンナーを子に与えている現場を目の当たりにし
日本が支援する施設を脱走する子供たちが居ることを知る。
カンボジアでは、日本の税金で作った学校が必要のない場所で建てられ
校舎が全く使われていない現場も見た。
アフリカやウガンダでは、日本の野球の普及事業の期間が終了した途端
定着しかけたリーグが無くなった。
現地スタッフから良く聞いた言葉は・・・
「支援慣れ」というものだった。
無償支援に依存すると、自力での社会構築の妨げになることを知った。
ビジネスとしてお金を回した方が現地の人のためになる。
そして、結果的により持続可能な支援となりえる。
長い旅を終え、
日本に帰郷した彼は
高校で学年が一年遅れた。
でも、焦りは全くない。
「世界を見たからこそ、日本でしっかりと勉強したい」
という。
(東京新聞3月8日夕刊より)
素晴らしいですね。
彼も、親も、学校も。
志した彼に、それを許した親。
そして、見守った学校。
日本も捨てたもんじゃないと思わせてくれました。
同新聞にこんな記事もありました。
「いまどきの大学生は読書も勉強もしない半知性主義」
などと批判されるが、多くはそうではない。
「学ぶ時間さえない万年家老の働き手」
となってしまっているのだ。
日本をダメにしているのは、政治でも、教育でもなく・・・
若者を食い物にする企業だ、というのだ。
将来の日本を担う子供たちの学びの時間を
アルバイトという、企業の都合のいい労働力として浪費している。
企業は、「新卒の若者は使えない」というが
実際にアルバイトで若者を過剰に拘束している、大手コンビニや量販店、大手居酒屋チェーンが悪いのである。
そりゃ、気が付かなかった視点ですね。(゜゜;)
なるほど。
大阪府の「らいとぴあ21」には
放課後の居場所「ぴあぴあルーム」がある。
毎日、平均20人の小学生がやってくる。
ある職員が呼びかけた。
「草むしり、50まーぶ!!」
まーぶとは、子供たちが学び、遊び、働いて手に入れられる「仮想通貨」だ。
得たまーぶは、食事やおやつ、祭りのゲームに使える。
仕事はぴあぴあルームの「ハローワーク」で見つける。
掲示板をみると・・・
ニュースレター配りは自給100まーぶ
朝市の手伝いは、200まーぶ
勉強を頑張れば、50まーぶ
運営するNPOの松村さんは言う。
どんな家庭の子でも頑張ってみようと思える仕組みにしたかった。
社会に出たら稼いで自立しないといけないことを
小さいころから肌で感じでほしい。
夏休み中、19回、職員や周辺の住民の作った昼飯を100まーぶで提供した。
食器の洗い物50まーぶ、配膳50まーぶと仕事をつくり
二つ担えば、翌日の食事が食べられる。
家庭の事情で、昼飯を抜く子やカップラーメンが続く子もいるから。
延べ88人の子が、この仕組みでお昼ご飯を食べた。
小学生高学年の子に話を聞くと・・・
「お使いをしてまーぶをもらって、ご飯が食べられた!」
と満面の笑みを見せた。
(朝日新聞2012年10月9日朝刊より)
良い仕事ですね。
子供のいない中央省庁で、官僚があーだこーだ議論して・・・
それを政治家や教育委員会を媒介として、システム化するのではなく・・・
子供たちを目の前にして、ふれあいながら、決めていく。
まさに、事件は会議室でおきているいんじゃない、現場で起きているんだ!
です。
「木を見て森を見ず」という言葉がありますが・・・
一本一本の木がどうなっているのかは、やはりとても重要なんです。
今の社会は、すべてが「おおざっぱ」すぎる気がしてなりません。
エムスクエアラボの加藤百合子社長。
農業に参入して6年半。
念願だった農業と教育のかけ算した事業をはじめます。
農業を軸とした人材育成プログラム「アグリアーツ」です。
教育には大きく
学校教育・家庭教育、そして地域教育があります。
学校教育は、その役割を再考する必要がある大事な時期です。
知識を身に付けるという点でいえば、ウェブ配信の講座や民間塾など
競争原理が働き、学校よりも優れてきています。
また、家庭教育は貧困や親の熱心さの影響を大きく受け
格差はますます広がっているように感じます。
では地域教育はどうでしょうか?
一昔前なら、人生の大先輩が地域の子供たちを叱る説教をするという
自然発生的な教えを得ることができました。
しかし分業化や核家族化が進み、教育は学校に任せきりになってきました。
そして何か問題が起これば・・・
学校にその原因を押しつけつことで、家庭も地域も責任を逃れてきたのです。
人材は地域の宝であるからこそ
学校・家庭・そして地域が一丸となって、子供を育てる必要があります。
アグリアーツでは
地域の資産であるシニア人材や放棄農地、空き家などを結び付け
子供たちの育成と地域の活性化を一挙両得してしまおうと思っています。
(東京新聞、紙つぶてより)
社会問題として扱われている
「地域の高齢化」
「放棄農地」
「空き家」
これらを、加藤社長は「地域の資産」とおっしゃっています。
これは、凄い斜め45度からの、鋭い視点ですね。
ビックリしました。
そうか~、地方は資産の宝庫なんだな~。
俄然、地方で子育てをしたくなってきました。(^^;)
どうしよう。