この春陽荘(しゅんようそう)は・・・
兵庫県洲本市宇山の地で
81年前に建てられた旧岩木家を
現当主の高山さんが譲り受け
宿泊費等を元手に
当時のままの姿で
保全を行っているそうです。
427坪の広い敷地に
貴賓館、蔵、客殿、寝殿、常住殿など
8棟の建物が現存しており
平成16年に国の有形文化財に指定。
造船業で富を得た岩木家の自宅は
家相方位学の権威「山本豊圓」が設計し
地元の大工が
なんと「7年」の歳月をかけて
完成させたそうです。
宿泊する貴賓館は
「無冠の帝王」と言われる
建築家出江寛(いずえかん)氏の設計で
『兵庫県景観形成重要建造物』
にも指定されている
筋金入りの歴史的文化財となります。
玄関を入ると
絨毯敷きの長い廊下がお出迎え。
学校のようです。(^^;)
突き当りには
ステンドグラスの窓。
廊下から一番手前のドアを開けると
広~い応接室。
天井高は3m以上ありますよ。
ここも宿の一部となるので
宿泊中はリビングルーム的な
使い方をする部屋となります。
ただし、調度品が
どれもこれも高級なもので
10歳と12歳の
暴れ盛りの子供のいる我が家では
おいそれとは使えないかな。(^^;)
当主の高山さんから
「ジュータンは一枚物です。」
「だから、色のある飲み物は気を付けて下さいね。」
と笑顔で説明を受けます。
「ハーイ」と答える我が子達と
顔がひきつる妻と私。(笑)
隣は、ベットルーム。
キングサイズです。
廊下を挟んで反対側には
もう一つのベットルーム。
シングルベット2台が
とても余裕ある配置です。
キングサイズのベットの下に
引き出しがあって
その中に布団が2セットありました。
よって、6人まで泊まれるようです。
脱衣所兼洗面所があり
ここは何度かリフォームされたようで
山小屋風。
バスタオルとフェイスタオル完備。
飲む用のお水やお湯は
毎日取り換えてくれます。
タオルも1日~2日に1度
希望通り取り替えてくれるそうです。
その他のアメニティーグッズはありません。
歯ブラシやドライヤーなどは
自分で持ち込む必要があります。
妻が「歓喜」したのが
洗濯乾燥機。
無料で使い放題ですよ~。(^^)
4泊5日では
強~い味方となります。
お風呂はヒノキ風呂。
トイレはウォシュレットでっせ!!
冷房は全部で3台。
各部屋に備え付けのため
廊下や洗面・トイレ・浴室は
冷房が効きません。
真夏に泊まる場合は
注意が必要です。
ちなみに我が家は
外気が36度超になるぐらいの
日の宿泊でしたので
トイレに入ると汗だく
お風呂も外気と同じ温度で
入浴となりましたが
全く気になりませんでした。
ただし・・・
古い建物なので
潔癖を求める人はNG。
「虫が出ます。」
「暗いです。」
「戸締りが悪いです。」
「暑いです。寒いです。」
「エアコンの音がうるさいです。」
我が家も宿泊中・・・
トイレでムカデに遭遇しました。
ただ、我が自宅は鎌倉なので
ムカデは普通に出るため
全然平気でしたが
都会のタワーマンションとかに
住んでいる人は、大騒動かな~?
4連泊した評価は
5つ星で・・・
☆☆☆☆☆
満点でした!!
本当はエアコンの機器が少し悪く
音も大きかったのがマイナスなのですが
何より、当主の高山さん人柄が最高でした。
「朝ごはんや晩ごはんも言ってくれれば、地元の食堂にお願いして、地場の食材でどうにかしますよ!」
なんて暖かい言葉は
素泊まり客に普通、いただけません。(TT)
中庭に出ることが出来ます。
バーベキュースペースとして
ここも自由に使う事が出来ます。
広すぎる。
高山さんから
「バーベキュー、是非チャレンジして下さい。」
と言われましたが
周りが全部『国指定の文化財』の場所で
子供とバーベキューをする勇気は
我が家にはありません。(汗)
中庭の奥に蔵があり・・・
蔵の中も利用自由ですって!!
入ってみると・・・
中は、カウンターバーのように
なっていますよ。
高山さん曰く
「ここで、お好きに飲んでください」
階段裏には
大きい冷蔵庫があり
宿泊中は自由に使えるとの事。
「毎日、冷えた水をここに入れておきますので」
と、至れり尽くせりです。
この蔵や中庭には
玄関の方からもアプローチ出来ます。
この石畳を通っていくと中庭です。
「母屋の方もご覧になられますか?」
とお話を頂き
「是非お願いします」
と、妻と私。
こちらでは
平常時は、食事が出来るそうです。
また、宿泊も可能との事。
現在コロナ禍のため
閉館しているそうですが
毎日、風を通すために
開け閉めをするのですって。
文化財を所有するというのは、大変ですね。
中は、凄い大工仕事の数々。
廊下だけで・・・
床・天井・木建・棟木・垂木・軒桁・柱・・・
目移りします。
小さな明り取り窓に
小さな地窓。
その小さな地窓は
引き違いの障子戸が付いていて
落とし込みの木製鍵が付いています。
お洒落だ。
今の住宅には無くなった「縁側」は
日本家屋の特徴です。
自然石の「沓脱」も素敵。
昔の日本家屋は
縁側を開放して使う事を目的としているため
1階でも屋根(下屋・霧除け)が必ずあり
その軒先は必ず「三尺」出ています。
縁側に雨が入らない設計なんですね。
それにしても・・・
我が地元、鎌倉の由緒あるお寺の中に
居るような錯覚を覚える
美しい日本家屋です。
屋根を支える垂木は
縁側(内部)と軒先(外部)が
一本の細い化粧垂木で繋がっています。
これで81年の間、腐らずにもっているなんて
信じられません。
丸垂木は芯材です。
今とは違い当時は
生木を自然乾燥させて
使っていたのでしょう。
自然乾燥させた芯材は
強いですね。
日本家屋と言えば
欄間ですね。
組木細工かと目を凝らしたら
透かし彫りのようです。
一枚板を切り抜いた物。
どれも2階の宴会場の和風飾となります。
この部屋を見て個人的に驚いたのは
壁が無いんです。
3方が縁側になっていて
柱は、縁側が2間半間隔で
内側が2間飛び。
後はご覧の通り、木建サッシ。
筋交いが無い。
壁が無い。
もちろん、現代のホールダウン金物などは
一切使われていません。
5寸の柱だけで
この大きな屋根を支えているのか。
それで・・・
阪神淡路大震災時も
倒壊しなかったとの事。
スゲーな。
さらに、外部の木製サッシや
内部の障子戸や襖戸は
狂いなく・・・
約25年ほど建築業に携わる私。
ちょっと信じられない現実です。
推測するに・・・
柱はすべて5寸を超えたものが
通し柱になっており
土台から天井まで一本で繋がっていて
その柱に1Fの床組みと2階の床組みが
しっかりとかみ合い
木製の極太の「敷居」や「鴨居」が
その柱に組み込まれ
それらすべてか構造体として
機能しているのでしょう。
コロナ騒動が収まったら
この母屋にも
是非泊ってみたい。
ただ、こちらはエアコンが無いので
夏と冬は、覚悟が必要です。(^^;)