私が建売住宅の設計を考えるとき・・・
「4人家族が住むのに快適な空間」という事を第一に考えるようにしています。
ただ、基本的に・・・
「快適」という要素に、部屋数はあまり関係ないと考えます。
私が子供ころ、6人家族で2DKに住んでいました。
でも、特に不便をした記憶はありません。
建築家の伊藤先生と以前飲んだ時も同じような話がありました。
家の中を細かく区切るという考えでは無く、
一つの一体空間として考えた方が快適になり面白い。
つまり・・・
リビング・ダイニング・主寝室・子供部屋・客間
それらをキッチリ区分けする既成概念が「家」になってしまっている。
それに凝り固まって囚われてしまっているので
どれもこれも、同じような家になってしまっている。
というのです。
我々が造る建売住宅の主のターゲットは、30代のご家族です。
その多くの3LDKを望まれます。
夫婦で使う主寝室が1つ
子供は、各1部屋づつ。
それにリビングとダイニング。
ほとんどの方が、そうおっしゃいます。
さらに、最近は「3LDKでは狭い」という方がとても増えています。
客室として、又は将来両親と一緒に住むため・・・
「もうひとつ和室が欲しい。」というのですね。
顧客のニーズに合わせていくのが建売住宅です。
よって、それに合わせて市場も4LDKが支流となっています。
ただ・・・
建売住宅の場合、土地が狭く、建物も30坪未満が殆ど。
鼻から4LDKには無理があるのです。
ビルダーとして考えると、4LDKは、最低延べ床で33坪は欲しい。
それを、どの建売も28坪前後に詰め込んでいる。(^^;)
すると、何が起こるかというと・・・
階段・廊下・玄関・ホール・水回り・収納にしわ寄せが行く訳です。
・階段がやたらと急。
・玄関が狭い。
・廊下が狭くてドアが密集している。
・ホールが存在しない。
・水回りの動線がメチャクチャ。
・形だけの吹き抜け
・家具を置いたら住めないレベル。
etc・・・
新聞広告や売り出しのチラシを見て、目を覆いたくなります。
酷い設計の家がとても沢山。
最近、特に。
そんな家ほど・・・
「デザイナーズ住宅」なんて、謳ってるんです。(TT)
でも、一般の人は図面を見ても解りません。
初めて一戸建てを買う人は・・・
「生活動線」と言われても、ピンときませんもの。
とにかく部屋数が多ければ、目がハート。
現に、飛ぶように売れています。
建築家の伊藤先生は仰います。
「4LDKに家を細かく区切って、子供が巣立ったらどうします?」
老後、年金がもらえるかどうかわからない我々です。
退職金なんてまともにもらえるのだろうかしら?
そんな老後に、4LDKの家を2人暮らしに適すようにリフォームするのは、無理でしょうね。であるならば、結婚~子供が生まれ~育ち~巣立ち~夫婦の終いの住まい~老後一人暮らし・・・、そこまでを考えて、将来、住む人が少しの費用で対応が効くように設計するのが、プロ(建築家)としての責任でしょう。
と、仰る。
話は少し変わります。
先日、我が家でパディントンベアキャンプグラウンドに行った時の事。
こんなバンガローに宿泊しました。
家族4人で、14000円ぐらいで止まれる激安施設です。
平屋のログハウスです。
内部は、こんな感じの超狭小住宅です。
L型の2人用別ベットが2段造りになっており・・・
ベットを除く居間は、4畳半もありません。
玄関横にすぐトイレと洗面。
たったそれだけの空間です。
狭いです。
物凄く狭いです。
ですが、4人、違和感なく宿泊する事が出来ました。
そこで私、現代住宅に凄い違和感を覚えたんです。
そして、このバンガローを計ってみました。
帰宅後、図面にしてみました。
たった、これだけの空間です。
マス目は1個「910mm×910mm」です。
2個で1帖です。
つまり、たった7帖とちょっとの空間な訳です。
その空間で・・・
十分に楽しく過ごせました。
もちろん、椅子なんて置く場所ありません。
居間は、4帖なので、じか座りです。
でも、これはこれで有りです。
私が小学生低学年の頃、我が家も直に座り「ちゃぶ台」でした。
゛親の前でご飯を食べる時は正座゙という決まり事があったのを、思い出します。
父親は怖く、食事の時は話をした記憶がありません。(^^;)
その話はさておき・・・
このバンガロー、子供たちも楽しく過ごしています。
夜は、4人で楽しく就寝。
一晩過ごしてみて・・・
全然苦ではありません。
一晩だけだから、なのかもしれません。
子供がまだ小さいから、というのもあるでしょう。
でも、それを差し引いて、住宅のプロとして考えます。
その私の感想は・・・
「このスペースでも、十二分に生活できるな!!」
2段ベットの下は、奥行90cmもあるフリースペースです。
ここ工夫すれば、かなりの収納力です。
家族4人の寝室として、トイレを除く約6帖の空間で・・・
完璧に機能すると言えます。
個人的に、子供に独立した部屋は、要らないと思っています。
部屋が無ければ、ひきこもりようがありませんし。
部屋が無ければ、独り立ちして巣立つのも早いでしょう。
4人家族でも住める最少の家、書いてみました。
平屋、9.51坪。
断舎利が流行っているから、グッドです。(笑)
不要なものをトコトン捨てる。
というか、買わない。
平屋ですから、屋根形状の制限は受けません。
高い天井にして、開放的な空間にしてあげる。
一部をロフト的な収納を造れば完璧です。
オープンテラスで、玄関兼用。
雨が入らないぐらい庇をだして・・・
そんなイメージしていたら・・・
なんだ、大好きな「沖縄の古民家」みたいな様子です。(^^)
写真は、古民家の宿「ちゃんや」さん(楽天トレベルより)
また、話は飛びますが・・・
先日、ご主人がお亡くなりになり、もう10年来お一人で住でいらっしゃる93歳の女性のお宅にお邪魔したんです。
築70年のその家は、まさにこんな「沖縄の家」の様子でした。
偶然にも、3つ、一致。(゜゜;)
ガスも水道も無かった時代の家は、とても合理的だったという事でしょうか?
将来、こんな家を建ててみたい。
建売住宅として。
どうですかね?
まずは、自分の家として試してみようかしら?
(妻を説得する必要がありますが・・・)
つづく