2023年6月4日日曜日

中国大使

4月28日のこと。

新任した駐日中国大使の呉江浩大使が
日本記者クラブで講演しました。

その内容に関して
マスコミはほとんど扱わないので
日本では、あまり知られていません。

私も知らなかったのですが
その内容が興味深かったので
転載してみたいと思います。

(以下大使の話を抜粋)

皆さん、こんにちは

日本記者クラブにお招きいただいて
うれしく思います。

本日は、新時代の中国外交について
皆さんと交流し、中国を認識し
理解するにあたって
力になれれば幸いに思います。

中国外交は世界のためを思いつつ
変局と変化に立ち向かって
世界の平和維持と
共同発展のために
積極的に行動を取ってきました。

世界各国との親善を深め
人類運命共同体の構築に
努めていきます。

対立より対話
同盟よりパートナーシップ
ゼロサムよりウィンウィン
を目指す決意であります。

一国主義やいじめ行為
他国への内政干渉
集団政治や陣営間の対立には
我々は反対します。

文明の多様性を尊重し
お互いの交流で壁を超越し
相互理解で衝突を超越し
寛容な精神で優劣論を超越すること。

文明とは色とりどりなもので
決して上下や優劣はなく
ましてや一色に染まるべきではない。
人種、宗教、価値観や
イデオロギーの対立を
煽り立てることに我々は賛成しない。
特に自国の制度を
他の国に押し付けることに反対します。

中日関係については
今重大な岐路に立っているという認識です。

国交正常化以来
最も複雑な状況に直面し
新しい問題、リスク、チャレンジに
差し掛かっています。
米国が中国へのネガティブキャンペーン
最大限の圧力を繰り広げ
更に他国を引っ張り込んで
強引に中国を封じ込めようとしています。
このことが中日関係に影響を与える
最大の外的要因となっています。

当面の急務は
中日関係が航路から逸脱せず
停滞、後退することなく
正しい方向性をしっかりと
把握していくことです。

さらに、両国指導者が
何度も確認した重要な合意に則り
両国や両国民の根本的利益を見据え
新しい時代の要請に
相応しい中日関係の構築を
推進していかなければなりません。

中日関係には独自の「基軸」があるべきです。
昨年の国交正常化50周年に続き
今年は中日平和友好条約締結45周年を迎えます。

条約の全文はさほど長くはありませんが
その一文字一文字に重大な意義があります。

条約は、中国と日本が
平和共存5原則の基礎の上に
両国間の恒久的な平和のために
友好関係を発展させること。
すべての紛争を平和的手段により
解決し及び武力又は
武力による威嚇に訴えないこと。

両国はいずれも
アジア・太平洋地域においても
他のいずれの地域においても
覇権を求めるべきではなく
また、このような覇権を確立しようとする
他のいかなる国又は国の集団による試みにも
反対すると規定しています。

これは双方の厳粛な約束であり
履行すべく法的義務でもあります。

今日、この文書を読み返しても
その精神は色褪せないばかりか
新しい時代においてさらに重要性を増し
今日直面する問題の対処に
極めて的確な存在であると感じられます。

日本に対しては
中国は常に善隣友好
協力ウィンウィンを主張し
日本をライバルにしたことはなく
なおさら脅威ひいて敵扱いする意思はありません。

日本においても
同じ態度をとっていただきたい。

残念ながら、最近日本側は
中国を「これまでにない最大の戦略的挑戦」と位置づけ
個別の国の反中、中国抑制に追随して
「中国脅威」を喧伝することによって
軍備拡充を加速しています。

日本側がこのような認識と
政策基調に固執するのであれば
中日関係の基盤が実質的にダメージを受け
中日関係の健全で安定した発展は
語れるわけがありません。

条約締結45周年記念を契機に
お互い条約の精神を再確認し
その規定を守り
その義務を履行すべきではないでしょうか。

ぜひ日本側が客観的な対中認識を確立し
戦略的自主性を以て
時代の大勢を見極め
建設的な姿勢で両国関係の
安定した発展を進めることを期待します。

新しい時代の要請に
相応しい中日関係を構築するために
何をコントロールすべきか。
現在、中日関係の新旧の問題が次々と顕在化し
挑戦が押し寄せて来る中
それらを効果的にマネージ・コントロールすることは
大変重要であります。

日本側には、約束と信義を守り
歴史、台湾など重大な問題の善処
中国の核心的利益への損害の停止を求めています。

台湾問題は中国の核心的利益の核心
中日関係の基礎の基礎
越えてはならないレッドラインであります。

強調したいのは
台湾は中国の台湾であり
台湾問題をどんな形で解決するかは
完全に中国の内政であり
いかなる外部勢力も干渉する権利がありません。

我々は最大な誠意
最大な努力で平和統一を求めます
しかし武力行使の放棄を約束することはしません。

日本の友人の中には
これについて誤解と憂慮を持つ人がいますが
しかしよく考えれば
武力行使を放棄しないことは
まさに「台湾独立」に対する
根本的な抑止力であり
両岸の平和と安定を維持するための
根本的な保証であります。

現在の台湾海峡の情勢が緊迫しており
「台湾独立」勢力と外部の干渉勢力が結託して
サラミ戦術で挑発の試みを繰り返し
最終目標は台湾を
中国から分離させることにあります。

これこそ現状を真に変更させるものであり
災難的な結果をもたらします。

いわゆる「台湾有事は日本有事」という言い方があります。
これはまたあまりにも荒唐無稽で危い。
中国の純内政問題を
日本の安全保障と結びつけるのは
非論理的だけではなく
極めて有害であります。

日本という国が
中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば
日本の民衆が
火の中に連れ込まれることになってしまいます。

新しい時代の要請に相応しい中日関係を構築するために
何を強化すべきか。
私に言わせれば
互恵協力と友好往来だと思います。

今年は中国の改革開放45周年であり
中日両国の利益が深く組み込み
互恵ウィンウィンがみのり
豊かな45年間でありました。

中国はずっと日本を重要なパートナーとみなし
日本とともに
新たな協力分野の探索
ハイライトの創出
そしてより高いレベルの協力ウィンウィンを
実現したいと考えています。

中国経済は今年
第1四半期に4.5%の成長を見せており
安定と回復の良い傾向にあります。
日本経済がこれから発展できるか否かに
直結しているとまで話す方がいらっしゃいました。
日本企業が中国との協力で
より大きな成功を収めることを
喜んで歓迎したいと思います。

同時にご留意いただきたいのは
この協力は公平でオープンなものであるべきことです。
特に人為的な制限
ましてはデカップリングや
サプライチェーンの切断はあってはいけません。

半導体の輸出規制強化という発表がありました。
これが中国を狙ったものかどうかは
皆がはっきりとお分かりじゃないかと思います。

米国から理不尽な経済弾圧を受け
その痛みが未だ肌に残っている日本には
悪事に加担するのはどうかと思います。

そうするのであれば
中国市場だけでなく
日本の半導体産業の未来も
失うことになるでしょう。

中国側としては
この政策が実際に与える影響を真剣に評価し
自国の利益がむやみに損なわれるのを
座視することはありません。

中日がルーズルーズ、
どこかの国がほくそ笑うようなこと
我々は目にしたくないのです。

私が着任して1カ月余りになりますが
各界の方々に挨拶回りをしている時に
一番良く聞く話は
早く中国を訪問し
コロナで中断された交流と協力を
回復したいということでありました。

中日間には多くの矛盾や相違がありますが
中日関係は非常に重要だと
それを改善・発展させるべきだと
そういう声が高まっています。

今やお互いコロナ対策が
新たな段階に入りました。
これを機に、積極的に人的往来を再開し
両国民のより多くのフェイス・トゥ・フェイスの交流によって
相互理解を深め
誤解や誤算を減らしていくべきではないでしょうか。

若者は中日両国の未来を担っております。
様々な調査によると
両国の若い世代の親近感は
他の年齢層より遥かに高いことを心強く思います。

最近日本のアニメ映画「スラムダンク」や
「すずめの戸締まり」は中国で大好評を受け
日本国内以上に人気を博しています。

中国のオンラインゲーム「原神」も日本で大ヒットし
日本が最大の海外市場となっています。
また、最近訪れた本屋では
中国のSF小説『三体』がベストセラーとして
たくさん横並びにされているなど
双方には文化的な共鳴や
意識の共有がたくさんあることがわかります。

両国の若者たちは友人、パートナーになれると確信しています。
それが中日関係の将来に繋がると思います。

ご清聴ありがとうございました。

以上
(※この記者会見は、日本語で行われました。)

皆さん、この内容をみて
どう思いましたか。

「なに生意気言ってんだ!」
と思いましたか?
「あれ、報道と雰囲気が違うな?」
と思いましたか?
「中国は、日本に友好的だな?」
と感じましたか?
はたまた
「上から目線で高圧的だな!」
と感じましたか?
マスコミが扱わない現実に
何か感じていただければ幸いです。

私は個人的に・・・
「中国と台湾の構図は、日本と沖縄の構図に似てるな?」
と思いました。

第二次世界大戦後
台湾は日本から中国に返還されました。
遅れること27年後
沖縄はアメリカから日本に返還されました。

この情勢下で
もし沖縄が「主権は沖縄にある」と言い出し
日本から独立するとなったとします。
すると中国が・・・
「沖縄の有事は中国の有事!」
と言い出して、パトリオットミサイルを買いだしたら
一体全体、どうでしょう?
日本は、蜂の巣をつついた様な
大騒ぎとなるでしょう。

北方領土にも
同じことが言えますね。
日本が、ロシアに返せと言い続けている
択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島。
日本がロシアに対し
「武力行使も辞さない」
と表明したとします。

その直後に中国が・・・
「ロシアを全面的に支持する!」
と言い出したら
日本人はどう思うのでしょう?

現代人は・・・
今、スマホに魂を奪われ
空想をするという時間が
皆無なんですって。

でも・・・
想像を働かせるというのが
いかに大事だということが
よくわかる事案かと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿