「100歳すぎても歯が生えてきた」
パキスタンにそんな桃源郷があるという。
インフラが一切整っていないパキスタンの山岳地帯「フンザ」
医療施設など無い。
少なくとも千年前から暮らす人々が、他界とつながったのは60年前のこと。
それまで完全に陸の孤島だった村は、完全な自給自足を営んでいた。
化学肥料も農薬も保存料とも無縁。
オーガニックな果物や木の実中心の食生活だ。
推定115歳で亡くなられたバラドさんは・・・
自分の畑や村でとれたもの以外は、「汚れている」といって食べなかった。
フンザの老人は良く歩く。
3日間かけて歩かないと、隣町にも行けないからだ。
夏には2か月間、高原の草原へ放牧へ。
昔は食べ物がなくなっても近所の家に行って食べ
酒を飲み、喧嘩も朝には忘れた。
木陰で寝ても平気。
家の戸にカギは無かった。
それが、最近急激に変わった。
観光ブームでこの桃源郷が話題になり・・・
外国人客が押し寄せ、貧富の差が生まれた。
昔は皆悩み事がなく、心も健康だった。
それが、今は、皆、教育やビジネスと心配事ばかりしている。
すると、どうだろう。
最近はがんや糖尿病など、現代病が広がり始めた。
昔は、癌患者なんて一人もいなかったのに。
老人の一人は嘆く。
昔は一個のじゃがいももゴールドのように大切にし
皆で分け合って食べた。
それが今はどうだ?
争い奪い合い、殺し合いまで起きている。
こんな世の中に何の意味もない。
人生最悪の時だ。
澄み切った空気。
7千メートル級の山々にしがみつくように存在する村の空は、宇宙を感じるほど深い。
訪れた人が「風の谷のナウシカ」のモデルの地だというのもうなずける。
世界屈指の長寿大国日本。
医療や福祉の充実ぶりは、素晴らしいと思う。
ただ・・・
100歳を超える長寿となると・・・
別次元の何かが可能にしているのだろう。
現代世代として、なんだか申し訳ない気持ちになった。
(東京新聞:武石英史「郎辺境の里、長寿伝説」より)
0 件のコメント:
コメントを投稿