2020年9月28日月曜日

冷蔵庫の隙間

ハウスビルダーを生業として
特に設計に従事している人は
皆、共通の職業病があります。

いくつかあるのですが
一番、病気的なのは
「隙間を埋めたがる」
というもの。

テトリスというゲームがありますが
あれにとても似ていると思います。
感覚的には「テトリスの住宅版」でしょうか。(^^;)

とにかく・・・
「余分」な隙間や
「余計」な空間が
気になってしかたがない。

少しでも隙間が空いたら
「ここに何か造れないか?」
「ここに何か入れられないか?」
と、その隙間を
設備や造作で埋めようとしてしまいます。

とても広~いの豪邸であれば
無駄があっても
なんら気にならないのでしょうが
我々が手掛けるのは
24坪~35坪ぐらいの
「一般庶民の家」です。

限られたスペースの中で・・・
少しでも収納を多くしたい。
少しでも無駄を省きたい。
水回り設備をピッタリ納めたい。

一切無駄のない空間にしたいと思うのです。

今、鎌倉市笛田4丁目にて
3000万円台で販売を予定している建売住宅があり
現在、設計真っただ中で
間取りは下記のとおり、大まかに決定しました。

1F



2F

赤い線は、私の落書きです。

延床面積は24坪。
間取りは3SLDK。

LDKは14.82帖と小さめなので
将来置かれるであろう
①テレビ
②AVボード
③ソファー
④ダイニングテーブル
⑤冷蔵庫
等々
配置を練りに練った
動線設計となっています。

キッチン箇所の幅は、柱芯で3640mm。
内寸は、柱とボード・クロス・巾木を除き
3640mm-155mm=3485mm前後。

冷蔵庫が大型の550リットルでも
幅685mmなので、有効幅が700mmあればOK。
システムキッチンは幅2700mmを入れるとして
10mm程度のクリアランスを確保して
etc・・・

こんな数字を
あーだ、こーだ丸一日考え
元々L型キッチンをベースにしていましたが
I型の2700がベストだと決定し
製図し、構造設計とつづき
実際に建築に入って行くわけです。

話が変って、先日の事。
すでに着工している
注文住宅のお客様O様邸にて。

脱衣所が一般住宅よりも少し広く
こちらも奥様が「乾太くん」を希望されており
週末、若いお二人に当社へお越しいただき
設置位置の最終打ち合わせをしました。

配置が決まってみると
洗面化粧台と洗濯機の隙間が
45cm程度生まれます。
それがどうしても気になり
お客様に、こう提案しました。

「洗面化粧台をサイズUPできますよ」
「幅450のキャビネットを追加できます」
「洗面化粧台自体を幅300増やすこともできます」

当たり前のように
『私の提案をすんなり受け入れるだろう』
という勢いで、お話をしました。

ご主人様は
「おお、それは凄い!広げようよ!」
と仰られ
その横で、奥様はなぜか浮かない顔。

「どうです?」
と、どや顔で迫る私に・・・
奥様はとても言い難そうに
小さな声で、こう仰いました。

「私は、余分な空間が好きなんです。」

お話をお伺いすると
隙間や空間は無駄ではなく
自分で好きに使う事が出来る。
自由度があった方が
日々変わる生活に自分で合わすことが出来る。

奥様、にっこりと笑顔で
「だから、そのままで良いです。」

目の前の私、霹靂一閃 (へきれきいっせん)
とんでもないことに
気が付かされたと、ビックリ。

目の前に天からパッと光がさして
神様から啓示をうけた信者のごとしです。(^^;)

そうか。
なんでもかんでも『余分を埋める』というのは
ダメなんですね。
無駄な部分を残しておくことで
後々、自由になるわけか!!

20年以上ビルダーをやっていて情けない。
家を初めて建てる方で
しかも私よりも15歳以上若いご夫婦に
何だか、人生観を変えるようなことを
教えられました。(感謝)

話が戻ります。
笛田4丁目のキッチンですが
この話を機に改めることとしました。

幅がピッタリなサイズにはせず
わざと隙間が空くように
サイズを選んでみようと思います。

試しに・・・
「冷蔵庫の隙間収納」
とググってみると

ディノスで
こんな便利なものが売ってるんですね。


サイズは、幅10cm~40cmで多彩。


自由に組み替えることが可能です。

また、洗濯機の隙間も
こんなものを考えると
逆に便利で楽しいのですね。


なるほど。
自分で好きに「余分を楽しむ」ことが出来ますね。

また話が変わりますが・・・・
一昨日、玉縄1丁目で販売予定だった土地に
飛び込みのお客様から
購入申し込みを頂きました。

販売開始前に終了となります。

そして、また
一つの家族の夢を託して頂きました。
お客様のご希望で、当社にて建物を請け負う事となります。

この新しい経験を生かし
少しでも良いご提案が出来るよう
また、一から頑張ります。


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