2019年2月16日土曜日

左様なら

我々が日常、一番多く使う言葉。
それは挨拶です。

私たちは、何気なく使っていますが
その意味なんて、いままで考えたこともありませんでした。
でも、挨拶を漢字にするだけで
趣がガラッと変わってしまいます。

「こんにちは」は「今日は」

「さようなら」は「左様なら」

芥川賞作家の玄侑宗久(げんゆうそうきゅう)さんのコラムにて。
※下記、東京新聞より抜粋

日本人のあいさつはとても味わい深い。
「こんにちは」
は、昨日までとは違う今日が期待され
今日こそは心機一転で出直すことが促(うなが)される。
昨日までの自分を寂滅させ、新たに生まれなおすのである。
(※寂滅とは、煩悩をすべて打ち消し悟りの境地に入ること)

「こんばんは」
は、昼とは気分を変えてよいということ。
日本在住のアメリカ人曰く
日本人は昼はプロテスタントのごとく
夜は地中海人のようだと述べている。

では「さようなら」はどうか?
私は、この「左様なら」が一番切なく美しいと感じる。

相手の気持ちや事情を斟酌(しんしゃく)し
左様なら仕方ない、別れるしかないと
諦める言葉ではないか。

自然災害も一緒である。
津波や地震、台風等の被害も同じように
納得できないまま受け入れるしかない。

「左様なら」と納得できる事情などあるはずもないが
すべて仕方ないと受け入れて
「こんにちは」の意気込みで
明日からまた、生きていくしかないのである。

以上。

これを読んでから・・・
「さようなら」という言葉が簡単に吐けなくなりました。
イントネーションが違うのですね。
泣く泣く受け入れ「仕方がない」と続く言葉。

「仕方ない」という言葉をウィキペディアでは
こう説明されています。

理不尽な困難や悲劇に見舞われたり
避けられない事態に直面したりした際に
粛々とその状況を受け入れながら発する
日本語の慣用句。


さようなら・・・
深いです。

そして「こんにちは」という挨拶。
こんにちは~と、皆、言葉をかけあってますが
あれはお互いに・・・
「今日こそは、良い日にしましょう!」と
お互いに励ましあっている事となります。

凄いですね。
そして、日本語って、難しい。(^^;)

45年生きてきて、常用のあいさつの意味を
今日はじめて知った、恥ずかしい私でした。

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