2015年2月12日木曜日

柱の乾燥割れ

注文住宅I様邸
吹き抜け天井部分の杉板張りを行っています。



5%程度の勾配をり、屋根とは別勾配です。
トップライトがあるので、中々複雑な収まりです。

つなぎ目は、大工の井関さんにランダムでお任せ。



お金が掛かりますが・・・
高い天井を板張りにすると、家の雰囲気がとても良くなるのです。
ちなみに、低い天井の場合は、板目や節がうるさくなる場合もあるので、注意が必要です。

また、板なので、室内が過度に乾燥しますと、縮んだり反ったりします。
高い部分だと目立ちませんが・・・
低い部分だとその狂いがとても目だったりするのです。

せっかく、無垢板の話になったので、性質の話をしたいと思います。

当社の住宅は、国産の無垢材を使用しています、

柱や化粧張は、紀州産の檜や杉です。

日本でもトップクラスの品質を誇る山長商店さんの材木です。
全て含水率を20%に抑えたKD材なのですが・・・

下の写真は、建築後1年経過した、杉の上小節の一等級の柱です。



壁の仕上げ材との隙間、お分かりになりますか??

2mm~3mm程度、透いています。

この隙間が、杉の梁が「痩せ」た部分です。

下の写真も同じです。



ここは、建築時、ピッタリとくっついていた場所です。
お互いに痩せて、4mm程度の隙間が空いています。

また、この梁の裏側を見ると・・・



上部に乾燥割れが出ているのが、解りますか??

よく、昔の家は、真冬の夜に「ピシッ!パシッ!」と、壁や天井の中で音をたてた記憶がある方も多いいかと思います。

これ、霊能者に言わせると「ラップ現象」という心霊現象なのだそうですが・・・

実は、無垢材を使うと、普通に起きるものなんです。

「乾燥により、材木が割れる音。」

木材は、隔壁と水と空気で出来ています。
断面を顕微鏡で見ると、蜂の巣と形状が酷似しています。



(写真は森林・林業学習館より)
http://www.shinrin-ringyou.com/mokuzai/kouzou_micro.php


写真のように、木は、道管という空洞で出来ているのです。
道管は、血管と同じ働きをします。
地中で水を吸い上げ、葉や幹にめぐらせる血管です。
その道管から水を抜き取ると、水があった部分は、空気が残ります。


つまり、ほとんどが空気という事になるのです。

木は、伐採をしても呼吸をします。
特に檜・松・杉等の針葉樹は、多くの空気の吸放出をくりかえします。

元々、水を吸い上げ蓄える構造のため、水分を取り込む性質があります。
よって、空気中の水分を吸着して吸い込みます。

夏場、湿度80%の外気から、湿気を一杯吸い込みます。冬場、外気が20%以下に乾燥すると・・・
空気中に水分を奪われます。

奪われると、膨張した道管が痩せます。

結果、柱が縮みます。

但し、芯部は既に道管が退化しており、湿気を吸い込みません。
外周の白身の部分が多く湿気を蓄えるため、乾燥をする際、その速度の違いで、割れます。

解りやすく言うと・・・
「手のひび割れ」と同じようなものと思ってください。

これは、必ず起こる針葉樹の性質です。

構造材の場合は、この割れを最初から人工的に入れてあります。
「背割り」といいます。



(写真は新木場の材木店「吉田商店」さんより)

http://www3.ocn.ne.jp/~hinokiya/nougaki/2006_6_14.html

化粧柱や梁の場合、この背割りをしていない材を使用することが多く・・・
引き渡し後に、割れるケースが多くなります。

よく、御客様から「割れて大丈夫なのか?」とご質問を頂きます。
ご覧いただいて解る通り、一般的に使われている背割りの柱でこの通りです。

柱の強度は、太さもさることながら・・・
芯部の赤身の部分が重要です。

乾燥割れが芯を貫通することはありません。
KD材に至っては、1度割れれば、その後割れを繰り返すことは稀です。
よって、背割りされた柱と同じだと言えます。

但し・・・ グリーン材(未乾燥材)の場合は、割れを繰り返し多数のひび割れが入る危険性があります。
昔の家は、自然乾燥で芯が生木の物が多くあり、又は、切り出したばかりのグリーン材で建てていたので、いつまでも「ピシッ、パシ!!」というラップ音が起きていた訳です。

今でも小屋裏の構造にはグリーン材を使っている業者が多いですが、当社の住宅は100%KD材(乾燥材)です。
ご安心下さいませ。(^^)


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