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2017年5月22日月曜日

借り上げ賃貸住宅の罠

このブログで何度も話をしていますが・・・
最近、相続対策による賃貸住宅の建設ラッシュに危機感を抱きます。

我が会社の周辺でも、古屋がガンガンと取り壊され
何が建つのだろう?と思ったら
おおよそ5割の確率で、賃貸アパートの建築がはじまります。

実際、ここ1年の間、我が会社の半径500mの範囲で・・・
相続対策の賃貸アパートが4件も新築されました。
しかも、建築日数は一般的な住宅の半分程度の急ピッチ。

人口がドンドンと減り続けると言われている日本。
すでに都心では、賃貸は飽和状態で、空室率は毎年上がり続けています。
そんな市場をよそに
30年借り上げという「家賃保証」を武器として
不動産を持つご老人たちに
「相続対策セミナー」という広告をバンバン打ち
「賃貸住宅を建てて負債を抱えれば、相続税は払わなくても良くなりますよ」
「30年間、借り上げだから安心ですよ」
という決まり文句で
なんとも安普請なアパートメントを建てまくるコンサル会社や建設会社。

高齢化が急伸する世の中で・・・
新築されるのは、エレベーターも付いていない3階建てのアパート。
バリアフリーの視点は皆無で、段差だらけの外部。

仕上がりも酷く、仕様もチープ。
プロの私が見て、目を覆いたくなるようなものばかり。
10年後に多額のメンテナンスが掛かるであろう。

こんな物を・・・
相続対策だからとウン千万円ウン億円の借金を背負わされ
素人だから全く解らず
「ありがとう」と喜んでいるご老人たちが居ると思うと
正直、ゾッとします。

金がもうかればいいのか?(▼▼#)
20年後、今、建築ラッシュのアパートは
家賃低下により、ローンを返すだけでめい一杯。
古くなるも、相続を受けた大家はメンテナンスを施せず
全て空室となり
ローンだけが残り、壊すことも出来ず、手放すしかなくなる。
しかし、賃貸需要が冷え込み、買い手がつかない。
下手したら、ゴーストタウン化する可能性がある。

こんな無責任で
ご老人を食い物にしようとする連中は
正直、不動産のプロ、建築のプロとして、激しい怒りを覚えます。

東京新聞の「紙つぶて」に私と全く同じ意見が出ていたので紹介します。
富士通総研の早川英男さんのコラムです。

近年の住宅市場のゆがみには、目が余るものがある。
住宅政策には抜本的な見直しが求められよう。

歪みの一つは、貸家建設の急増である。
それも、需要が増えている訳ではなく
貸家を建てると相続税が節約できるメリットがある為だ。

これに一昨年から相続税強化(増税)と
去年からマイナス金利で
金融機関がアパート融資に熱心になったことが重なり
賃貸建設が大きく増えている。

関連業者が「家賃保証」と謳って
オーナーに貸家建設を促すケースも少なくないらしい。

だが・・・
人口が減って
空き家が増え続ける日本で
むやみに貸家を建てれば
空き家率がさらに高まって
家賃の下落を招くだけだろう。

もうひとつは、高層マンションの林立である。
値上がりを狙った投資目的の購入も多いらしい。

筆者はもともと、集合住宅は賃貸が当たり前だと考えていて
アパートを切り売りする分譲マンションという仕組み自体
懐疑的だった。

老朽化したり
災害などで破損したりした時
積立金は不足するケースが多く
建て替えも
改修も
住民間での合意形成は難しい。

マンションの老朽化が進むと
補修が不十分な物件から居住者が逃げ出し
スラム化することが懸念される。

今流行りの高層マンションの場合
将来より深刻な形で
これらの問題に直面することになるだろう。

もう、本当におっしゃる通り。
こんな、誰もが分かる問題を抱えながら・・・

今なお、新築分譲マンションがバンバンと建設され
超高層マンションが億単位で販売される。
そして、政府一体となり大手ハウスメーカーが、貸家を建てまくる。

そして、騙されるだけの一般人。

日本の悪政として続けられてきた護送船団方式。
大企業と政治家が料亭で談合して決められる政策。
そして、官僚と地方を巻き込み
下請けや孫請けを従え
「いったん進みだしたら、止まらない。」
という典型の様。

そして・・・
「何によりも、目先の金が勝る。」
ことが、まざまざと見せつけられている。

そこには、未来志向の欠片もありません。

酷い有様です。


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